鉄の有効活用は経済の基盤です。 鉄は社会を支え、生活に密着した基礎資材です。我が国は海に囲まれ、湿度も高く、さびが発生しやすい自然環境にあります。鉄をつくり出す貴重な資源とエネルギーは、錆によって自然の前に永久に失われていくのです。「さび」による経済的損失に注目すれば、鉄に付加価値を与え鉄を守る溶融亜鉛めっきは、有限な地球資源への「エコロジー」に貢献していることがわかります。 |
腐食による材料強度の低下や、腐食が関与した災害によって何物にもかえがたい人命をも奪うという悲劇が起こっています。階段の踊り場が腐食により崩落、2名が下敷き・・・・・・・・・・・・。照明灯が腐食により倒れ車2台が破損。また、配管が腐食により破損し、水蒸気爆発事故を誘因し死傷者多数等、目に見えないところで腐食は進行し事故とつながっています。溶融亜鉛めっきは、製品の強度を長く守り、安全に貢献しています。「鉄をさびから守れ!」これが、溶融亜鉛めっきに与えられた使命です。
錆びるということは、鉄が大気中の水分と結合し、酸化鉄に変化することです。鉄は一ヵ所でも錆びると、どんどん進行し続けます。 | |
溶融亜鉛めっきは、長期にわたって鉄鋼を酸化皮膜から守ります。亜鉛めっき表面に、亜鉛の緻密な薄いさびが発生し、この緻密な酸化皮膜の薄膜が強力な保護作用となって、その後の腐食の進行をしにくくします。 また、亜鉛めっき被膜にキズがつき、鉄が露出した場合でも、周囲の亜鉛が先に腐食して、鉄の腐食を抑制する犠牲的保護作用を持っております。 |
大気中の亜鉛めっきの耐食性は優れています。大気中の環境が変化すると、亜鉛めっきの寿命も変化します。このグラフは、10年間(1992年〜2002年)の大気暴露試験結果から、亜鉛付着量が550g/㎡の場合であって、めっき皮膜の90%が消耗するまでの期間を基準として作成したものです。 |
溶融亜鉛めっき皮膜は、基本的には鉄亜鉛合金層と純亜鉛層とからなっています。めっきの際に形成される合金層は、鉄鋼素材の科学成分によって影響を受けます。 特にけい素は、他の元素に比べ最も付着量と合金反応に影響を及ぼします。 けい素の含有率が0.02%以下であれば問題はないですが、0.05%~0.12%及び0.24%を超える場合は合金反応が活発になり、表面に純亜鉛層がなく合金層がむき出しになった「やけ」と呼ばれる現象が発生しやすくなります。 通常の溶融亜鉛めっき皮膜の外観は、青白色に対し「やけ」の外観は光沢のない灰白色〜灰色を呈します。しかし溶融亜鉛めっきの主たる目的の防錆性能にはまったく問題ありません。 (社)溶融亜鉛鍍金協会が行った大気暴露試験でも、むしろ「やけ」が発生している部分の方が耐食性が優れていることが確認されています。 |
溶融亜鉛めっきをすると、めっき皮膜が厚いため勘合ができなくなります。
●ボルト・ナットのクリアランス
めっき前にオーバータップする場合、通常ナットの寸法により0.4~1.0mmのオーバータップが必要です。
めっき後にオーバータップする場合は0.4mmのオーバータップが必要です。
●他の可動部のクリアランス
ボルト穴やシャフトなどで可動部がある場合2.0mm以上のクリアランスを必要とします。